口臭:体臭、大丈夫?

口臭のチェック

においというのは不思議なもので,常にそのにおいを嗅いでいると,慣れてしまって何も感じなくなることもあるのだ.

たとえば,ペットを飼っている人はいつもそのペットと生活をともにしているため,ペットのにおい(動物の体臭や排泄物のにおい)に慣れてしまうのだが,他人がその場にいくと不快なにおいと感じることなどがある.

人間にしてもそうだ.

自分の体臭はいつも自分についてまわるわけだから,そのにおいに慣れないわけがない.

そのため,もしかして自分の体臭で周囲に不快な思いをさせていても,自分では気づきにくいことがよくあるのだ.

人と話すとき,なぜか相手が手で鼻をふさぐ,まっすぐ向かい合って話をしてもらえない,などということはないか? 逆に,たまたま話をした相手がものすごく口臭がきつかったりすると,「もしや自分も?」と気になったりしませんか?

自分の口臭を確認するには,コップやビニール袋に息を吹き込んでふたをし,しばらく置いてからそのにおいを嗅いでみる,という方法がある.

また,口臭をチェックする小さな機械も販売されている.

この機械では,口臭の原因となる揮発性硫化物という成分をセンサーによりキャッチして,口臭の度合いを測定するそうだ.

個人差があるが,測定値が上がったり下がったりする人もいるようで,これはにおいの強いものを食べた直後や起きぬけに測定すると,値が高く出るためだ.

そのほか,虫歯がないか,舌苔(ぜったい)がびっしりついていないか,歯肉炎や歯槽膿漏になっていないか,何か内臓に疾患がないか,など,体調によっても口臭の強さやにおいの種類も違ってくる.

自分でチェックしてもなお,口臭が気になるようだったら,一度,歯科,口腔外科を受診されるのもよいかもしれないね.

口呼吸と口臭

最近では,口呼吸をする人が増えていると言われる.

ある大学の教授が,講義中にペットボトルのお茶を持っている学生がとても多いことに驚き,それは口やのどが渇くため,つまり口呼吸をする人(若者に多いらしい)が増えてきているためではないか,と指摘していた.

鼻がつまっていたりして,どうしても口でしか呼吸できないときもあるだろう.

しかし常に口で息をしていると,体にとっていろいろと不都合が出てきてしまう.

まず,体臭の中でも気にしている人が多いといわれる「口臭」が強くなる.

口臭は,口腔内の病気である虫歯や歯周病によるところが多いのだが,口呼吸により虫歯や歯周病になりやすい環境が作られてしまうのだ.

それは唾液に関係している.

唾液というのは,口の中の食べ物のカスを洗い流したり,酸性度を一定に保つなどの役割をしている.

口の中では,食事をするたびに,食べ物のカスによって虫歯になりかけ,それを唾液が治すというサイクルが繰り返されているのだ.

口呼吸をしていると,分泌された唾液がすぐ乾いてしまうため,唾液の役割が発揮されず虫歯や歯周病を進行させてしまうことになるのだ.

自分の体臭に悩んでいる人は,その部位やにおいによって対策は違うが,口臭に悩んでいる人で口呼吸が原因のひとつと考えられる場合には,まずそこから治していくとよいかと思う.

口呼吸を治すには,チュウイングガムを口を閉じて毎日1時間ほど噛むと効果があるようだ.

ただし,シュガーレスのガムにしてほしいね.

口臭について

あなたは自分の体臭で,気になるのはどのにおいだか? この質問に「口臭」「足のにおい」「汗のにおい」が多かった,という調査結果があるそうだ.

特に「口臭」については半数以上の人が気になると答えていた.

自分の口臭にときどき不安を持っている人は7割近く,また他人の口臭がときどき気になる人は8割近くいたそうだ.

他人とコミュニケーションをとる際に,向かい合って話をすることは避けられないため,どうしても口臭は気になってしまうのだろう.

口臭には,自分ではとてもにおいが気になるのに実際その口臭を測定してみると通常の範囲内であることがよくある.

常に自分の身だしなみや体臭に気遣う生真面目な人が,自分には口臭があると悩んで(実際はそうでもない)歯科に訪れることが多いそうだ.

人は誰でも,疲れて唾液の分泌が減ったときや,朝起きたとき,食後2,3時間後などは口臭があるものだ.

それを必要以上に気にしてしまうのだね.

この場合の口臭は,息がかかるほど接近して会話をすれば別だが,よほど周囲の人には感じられないにおいなので,気にすることはないのだ.

神経質になって食後急いでうがいをしに走ることも,誰とも口を聞かずに食事の時間を過ごすこともない.

食事は楽しく摂りたいものだし,楽しく感じることにより,唾液の分泌もより促される.

どうしても気になるようだったら,食後,口に残った食べ物を流す意味も含めてお茶を飲んでおけば,急いでうがいをするために洗面所へ走らなくてもいいろう.

口臭と病気

においとは,人それぞれ感じ方が違うため,たとえばそのにおいをかいだことのない人にどんなにおいなのか言葉で説明しようとしても,それは不可能に近いそうだ.

自分や他人の体臭についても,それが気になる人,まったく気にならない人がいます.

自分の体臭を気にしていない人の中には,実際はかなりのにおいを放っていることもある.

特に口臭,中でも虫歯や歯周病が進んでにおいを発している口臭の場合は,本人には気づきにくいことが多いのだ.

周囲の人にはどうしても気になってしまうにおいなのだが,本人がまったく気づいていないため,本人にも伝えづらく,歯科を受診することもなく病状は悪化してしまうことがある.

周囲の人にもわかるような口臭の原因には,虫歯や歯周病のほかに舌苔(ぜったい)や腎臓の病気,糖尿病,呼吸器系の病気,喫煙,食事の内容などがある.

食べ物によるにおいであれば時間が経てば自然に消えますし,食後の歯磨きやうがいで防ぐこともできる.

それに周囲の人も,たとえば「昨日にんにく食べてきた〜?」などと伝えやすいものだ.

しかし病気が原因の場合には,口臭が治療を必要とするサインになっていることもある.

他人の口がにおうとき,それを伝えるのは非常にやりづらいことだと思う.

しかし,あまりににおいが強い場合,治療の必要な何か病気を持っているのかもしれない.

その人のからだを思うなら,身近な家族や親しい人がアドバイスしてあげることも大切だと思うのだ.

口臭予防

自分の体臭,特に口臭を気にしている人は意外と多いものだ.

ある研究所の調査によれば,半数以上の人が口臭を気にしているという結果が出たそうだ.

では,口臭はどんなときに強くなるのだろうか.

自分でも気づきやすい例として「朝起きたとき」「お腹が空いたとき」「歯磨きをしばらくできなかったとき」がある.

食事をしたまま歯磨きやうがいなどの手入れをまったくせずにいると,口腔内が不潔になり,口腔内の細菌が食べ物のカスを分解してガスを発生させ,それがにおうのだ.

また,自分では気づきにくい例として「緊張やストレスで唾液の分泌が減ったとき」「歯ぐきに炎症があるとき」「虫歯や歯周病のとき」などがある.

これらの口臭を防ぐために普段からできることがある.

なんといっても基本は歯磨きだ.

仕事中で忙しく歯磨きができない場合には,口臭を消す効果の期待されるガムやキャンディーを携帯したり,トイレに行くついでにうがい液を利用するのもいいろう.

シュガーレスのガムを噛むことにより,唾液の分泌を促す効果もある.

また,食事中や食後に消臭作用のある緑茶を飲むのも効果的だと思う.

空腹時の口臭予防には,水を飲むとよいようだ.

最近では朝食を摂らずに過ごす人も増えているようだが,朝食を摂ることで午前中の口臭はかなり抑えられるそうなので,ぜひ朝はしっかりと食べてほしいものだ.

そのほか,虫歯や歯周病の場合には歯科受診が必要となる.

自分の体臭で周囲の人を不快にしていないか,と気になったら,まずできるところから始めてみよう.

楽しくコミュニケーションをとるためにも・・・

年齢と口臭予防

誰でも年をとると,自然に体臭は強くなってくる.

特に寝たきりになってしまい,誰かの手を借りなくてはスムーズに生活が送れない人にとって,自分の体臭が周囲に迷惑をかけていないかとても気になり,時には深く傷ついていることもあるのだ.

もちろん,介護する側にとっても,においをどう処理するか,というのは毎日の介護生活の中でずっとついてまわる問題となり,悩みのたねとなっているだろう.

自分でうまく体が動かせないお年寄り本人にかわって,介護する人が上手にケアしてあげることで,不快なにおいは軽減できる.

たとえば,口臭.

年をとると唾液の分泌量が減ってくるため,食べ物のカスが流れにくくなったり舌苔(ぜったい)もたくさんつくようになる.

また,入れ歯もきちんと手入れをしないと,においのもとになる.

歯磨きがうまくできない寝たきりの場合でも,食後は口の中の食べカスを取り除く必要がある.

そのときは,介護者の指にガーゼを巻きつけたもので,口の中を拭うといいろう.

口の中が出血している場合もあるので,血液感染を避けるためにも素手で口の中を拭くのはやめましょう.

舌苔については,専用のブラシなどが市販されている.

それをつかってもいいが,スプーンのふちでそっと拭ったり,食べカスをふき取る際にガーゼで一緒に拭っても効果はある.

力強くごしごしこすり取る必要はない.

また,たくさんおしゃべりをしたり歌を歌って口を動かすことで唾液の分泌も促される.

口がにおうから,といつも口を閉じていては,口臭予防には逆効果となってしまうのだ.

口臭予防にお茶

「お茶する」という言葉には,本当にお茶を飲むだけでなく「コーヒーを飲む」「ちょっと休憩する」などという意味も含まれているようだ.

それに一言でお茶といっても,緑茶,紅茶,ウーロン茶,ハーブティー,その他いろいろなお茶の種類がある.

中でも日本人にもっとも馴染み深いのが緑茶だが,緑茶は飲んでおいしいだけでなく,その殺菌効果やにおい消しの効果があるため出がらしまで利用されるほど利用価値のあるものだ.

緑茶にはカテキンやカフェイン,フラボノイドなどが含まれている.

カテキンは口の中の雑菌が繁殖するのを防いでくれ,フラボノイドには消臭効果があるため,食後に緑茶を一杯飲むと,口臭を抑える効果があるのだ.

また,出がらしをそのまま口の中にいれて噛むと,より口臭予防に効果がある.

人の体臭の中でも気になるにおいの上位が口臭だから,出がらしを噛む方法を知っておくと,自分だけでなく他の人にもアドバイスできるね.

緑茶は体臭だけでなく,家のにおいにも効果があり,においのついたカーペットや畳に出がらしをまき,しばらくしてから掃除機で吸い取ると,においも一緒に吸い取れるそうだ.

おいしくいただいた後にも利用でき,緑茶はあますところなく使える万能選手だね.

ところで,緑茶も紅茶もウーロン茶も,原料は同じ茶葉で,製造過程が違うだけなのだ.

加工の仕方が違うと,含まれる成分のバランスも異なるため,口臭予防効果も異なってくる.

カテキンやフラボノイドが含まれる量が多いのは,緑茶,ウーロン茶,紅茶の順になっている.